大判例

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名古屋高等裁判所 昭和25年(う)2035号 判決

起訴状によれば被告人は、杉本静枝から縞柄木綿反物一反外一点を金千九百五十円に売却方の依頼を受けて、之をあずかり、物交或は現金販売等を為し、之が代金千九百五十円を同人のため保管中横領した旨の記載があるのに、原判決第二事実では、杉本静枝から帯一点の売却方を依頼せられ、これを預り、他に売却して右同人に交付すべき金五百五十円を保管中、これを費消横領したとあつて、一見起訴状と別個の訴因について判断したように見えるけれども、原判決挙示の証拠を綜合して、これを見るに、縞柄木綿反物一反の売却方依頼を受けたことは、これを認めることができず、従つてこれが代金を費消横領した点も認めることができないが、起訴状に外一点とあるのは、帯一点を指していることが明らかで、これを売却したところ、現金三百五十円と地下足袋を得、更に右地下足袋を金二百円で売却し、結局被告人は杉本のため金五百五十円を保管していたところ、これを費消横領したことが認められ、物交によつて得た地下足袋を売却してこれが代金を保管することも、杉本の右依頼の趣旨に合致するものであつて、帯一点の委託販売契約の内容に属するものと認めることができるから、原判決の用語に多少不備の点があることは免れないが、この理由にくいちがいがあるものとは解することができないばかりでなく、起訴状の訴因と、原判決の犯罪事実とが異るものとも認められない。即ち起訴状の訴因の中に原判決のように帯一点の委託販売代金の費消横領も包含せられているものと解することができる。

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